ミヤシロブルボン活躍の記録

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14.充実

1999年9月27日(月)

南部杯。昨日の、JRA代表馬発表に続いて、岩手代表、他地区地方馬代表の発表が行われた。案の定、ミヤシロブルボンは岩手代表として6頭の枠に入っている。まずは出走にこぎつけられたことで、めでたしめでたし。

岩手代表は、言わずと知れた、フェブラリーS、帝王賞を勝ったメイセイオペラ。先日の青藍賞をひっかかりながらも2000mを逃げ切った、バンチャンプ。この2強に加え、9/23の短距離1200m東京盃を鮮やかに逃げ切った、サカモトデュラブに、ロイヤルスター、ユーコーマイケルと粒ぞろい(粒と言ってはシツレイかな?)。もちろん、ミヤシロブルボンもその中に...他地区が、ちょっと手薄かな?

JRA勢は、昨年、惜しくもダート3冠を逃したウイングアロー。1600mは無類に強いキョウエイマーチ、ダートの勝ち鞍もあるはず。ナリタホマレ、ニホンピロジュピタも侮れない。オースミジェットや、キョウトシチーは金沢の白山大賞典に回った模様。

それにしても、このメンバーで一体何位に入れるのか。いや、ここのところ力をつけてきたミヤシロブルボンなら上位に食い込めるに違いない。しかし、鞍上が誰になるのか。それだけが心配。

岩手

メイセイオペラ  雄6歳・佐々木修一厩舎
バンチャンプ   雄7歳・平沢芳三厩舎
サカモトデュラブ 雄7歳・伊藤和厩舎
ミヤシロブルボン 雄5歳・千葉博厩舎
ロイヤルスター  雄5歳・小林義明厩舎
ユーコーマイケル 雄7歳・村上実厩舎
<補欠>
フジノカズサオー 雄9歳・平沢芳三厩舎
スピアーヘッド  雄7歳・瀬戸幸次厩舎

地方他場

サクラスピードオー雄7歳・船橋・川島正行厩舎
ダイヤモンドコア 雌5歳・川崎・佐々木国広厩舎

JRA

ウイングアロー    雄5歳・工藤嘉見厩舎
キョウエイマーチ  雌6歳・野村彰彦厩舎
ナリタホマレ     雄5歳・谷潔厩舎
ニホンピロジュピタ 雄5歳・日野哲也厩舎
<補欠>
テセウスフリーゼ 雄8歳・新関力厩舎
スピードワールド 雄6歳・小西一男厩舎
チェリーラスター  雄5歳・大根田裕之厩舎
タヤスアンティーム 雄5歳・森秀行厩舎

 

1999年9月29日(水)

昨日の夜中に、驚きの情報が伝わった。メイセイオペラが南部杯回避とのこと。それ以上詳しい事はは分からず、朝を迎える。

岩手競馬のホームページには11時前に、「岩手県代表メイセイオペラ号(牡6歳・佐々木修一厩舎)が出走を回避しました。回避理由 右前球節炎のため (平成11年9月26日(日)の朝の調教後、午後の引き運動において右前跛行を確認した。)」との情報が掲示された。症状は軽く、先があるので大事を取って回避するとのこと。岩手のファンはがっかりだろう...

しかし、我がミヤシロブルボンにとっては、鞍上が菅原勲騎手となるので頼もしい限りである(メイセイオペラのファンの方ゴメンナサイ)。いよいよ、南部杯が楽しみになってきた。

 

1999年10月3日(日)

本日のグリーンチャンネル、「全国競馬便り」では南部杯の特集。JRA4頭の騎手には、ウイングアロー(菊沢隆)、キョウエイマーチ(秋山)、ナリタホマレ(蛯名)、ニホンピロジュピタ(武豊)と決まったそうだ。

JRA勢4頭を迎え撃つ地元は、バンチャンプ、サカモトデュラブ、そして我がミヤシロブルボンの3頭を取り上げていた。ミヤシロブルボンは、調教の様子が紹介された。鞍上はもちろん、菅原勲騎手。首を振って遊びながらの調教であったが、スタンド前を通過した後方からのアングルで見えたトモの張り具合は、かなりの成長が伺えた。これって、ひいき目かな!?

調教
水沢競馬場での調教(騎手:菅原勲)

1999年10月9日(土)

本日、南部杯の枠順が発表になった。ミヤシロブルボンは大外12番枠。盛岡の1600mはスタート後の直線が長いので、不利はないであろうが、前に行くミヤシロブルボンとしては余り有り難い枠ではない。鞍上の手腕に期待するかな...

出走メンバー

      斤量         
1 ウイングアロー 5 菊沢仁 56 (栗東)工藤嘉 阪神04/17 プロキオンS 菊沢仁57 ダ14 1:23.8 3着 458
2 フジノカズサオー 9 畠山信 56 (盛岡)平沢芳 水沢09/12 すずらん賞 畠山信56 ダ16 1:42.6 5着 520
3 ニホンピロジュピタ 5 武 豊 56 (栗東)目野哲 札幌09/11 エルムS 小林徹56 ダ17 1:43.9 1着 480
4 ユーコーマイケル 7 小林俊 56 (盛岡)村上実 水沢09/12 すずらん賞 小林俊56 ダ16 1:42.4 4着 451
5 スピアーヘッド 7 三野通 56 (盛岡)瀬戸幸 盛岡08/29 みちのく大賞典 三野通55 ダ20 2:08.7 5着 476
6 バンチャンプ 7 佐藤雅 56 (盛岡)平沢芳 盛岡09/23 青藍賞 佐藤雅57 ダ20 2:09.1 1着 490
7 ダイアモンドコア 5 佐々竹 54 (川崎)佐々国 札幌09/11 エルムS 佐々竹54 ダ17 1:45.0 4着 464
8 キョウエイマーチ 6 秋山真 54 (栗東)野村彰 東京06/13 安田記念 秋山真56 芝16 1:34.7 9着 494
9 サクラスピードオー 7 佐藤隆 56 (船橋)川島正 船橋09/15 日本テレビ盃 佐藤隆54 ダ18 2:03.4 13着 529
10 ナリタホマレ 5 蛯名正 56 (栗東)谷潔 札幌09/11 エルムS 熊沢重59 ダ17 1:45.7 9着 428
11 サカモトデュラブ 7 阿部英 56 (盛岡)伊藤 大井09/23 東京盃 阿部英53 ダ12 1:12.5 1着 447
12 ミヤシロブルボン 5 菅原勲 56 (水沢)千葉博 盛岡09/23 青藍賞 菅原勲57 ダ20 2:09.7 2着 474

 

1999年10月11日(月)(南部杯(G1):盛岡競馬場)

いよいよ、南部杯当日。初の盛岡競馬場出陣である。今日は、新井昭二さんご本人と、元岩手調教師の小西大(おお)先生(現、小西重征調教師の御父上。以下小西さんと呼ばせてもらいます)と、盛岡競馬場正門前で待ち合わせである。昨日、新井さんの家に連絡して、待ち合わせ場所と時間を打ち合わせた。新井さんは当日、苫小牧からフェリーで来るらしい。私は、東京から朝一の新幹線で。

盛岡に9時半に到着。無料バスで競馬場に行こうとしたが、所要時間30分とのこと。しかもバスは30分に1本。これでは待ち合わせ時間に間に合わないので、タクシーで競馬場へ向かった。タクシーの運転手の話では所要時間15分くらいとのことで、安心して後部座席に。タクシーは一路、盛岡競馬場へ。オーロ(盛岡競馬場)は、郊外にあると聞いていたが、それにしても一山越すくらいの山道をズンズン進んでいく。「こんな山奥に競馬場があるんかいな」と、若干不安にかられはじめたとき、視界が開けて競馬場の案内板が見えてきた。聞きしに優るモダンできれいな競馬場である。

タクシーは約束時間の10分前に競馬場に到着。車寄せでタクシーを降りて、正門に向かうと、そこには不安そうな顔をした新井昭二さんの姿が。待ち合わせ場所が分かるかなと不安だったらしい。正門内には小西さんも。新井さんとは今年の6月以来、小西さんとは2年前の水沢以来の再会である。挨拶もそこそこに、4階のゲストルームへ直行。4階からは、競馬場が一望できる。盛岡競馬場は左回りである。スタンドから見て右手の1コーナーの先には、瀟洒な厩舎が立ち並んでいる。今まで見たことのある競馬場、厩舎とは段違いの設備である。いや、びっくり。

ゲストルームで、しばし歓談と競馬を楽しんでいると、目の前を南井調教師がとおりすぎた。ウイングアローの関係者と一緒らしい。しばらくすると、大川、井崎、原、鈴木の競馬解説サークルの方々も現れる。イベントがあるのでしょう。今日はG1南部杯ということを改めて、感じさせる光景であった。キョウエイの松岡氏、ブルボンの宮崎さんも小西さんに挨拶して通り過ぎる。まあ、個人的には別世界の方々。私には関係ない...(苦笑)

そんなこんなで、レースは9レース。このレースには小西さんの持ち馬、ランニングメイトが出走。早速、パドックへ出て、写真を撮る。はじめて見る黒鹿毛の馬体は足が長く、とても500kg近い馬体とは思えないがなかなか走りそう。小西さんは既に勝つつもりで、レースが終わったら口取り写真をみんなで撮ろうと算段をしている。「でも、そうするとミヤシロブルボンのパドックが撮れないんですけど」という言葉を押し殺して、うなずくばかりであった。レースは残念ながら、2着。小西おお先生、ビールを飲んだ顔がさらに赤くなって...菅原勲騎手、「今日ははずしまくりダぁ」と、この時点で嘆いていたとか...は、後で聞いた話。

さて、レースはメイン南部杯。装鞍所の様子がパドックから垣間見える。装鞍所前の木の周りを、栗毛の馬体がしずしずと歩いている。まぎれもなくミヤシロブルボンである。厩務員さんと静かに周回をしている。「うん、元気そうだ、落ち着いている」と安心しながら眺め、今日の好レースに期待を寄せる

パドックに各馬が登場。さすがG1に出るだけの事はある、各馬落ち着いたものである。ミヤシロブルボンは12枠だから最後尾。最後に登場。ん?何?装鞍所とは打って変わって、首をしきりに上下させる。小走りになる。厩務員さんが一人ではもてあまし気味である。中央の馬が出走ということで、パドックは異様な雰囲気に包まれ、写真を撮る人も大勢いる。さらに曇り空で薄暗いためか、小型カメラのフラッシュの嵐。入れ込みやすいミヤシロブルボンにとっては悪条件が重なった。「まずい...やめてくれ!」と心の中で叫ぶのだが後の祭り。こういう場面でも負けない馬でなければならないのだろう。2〜3周回ったところで、とうとう厩務員さんは入れ込むミヤシロブルボンに引っ張られて、転ぶシーンまで披露してしまう。最悪だ...何とか2人引きで馬を落ち着かせてやれないものか。自分が飛び出して行って、代わりに引き馬したいくらいだ。

パドック、久々の再会! 菅原勲騎手
パドック、久々の再会! 鞍上、菅原勲騎手

騎手が集合して、各馬に跨るとこれまたフラッシュの嵐...菅原勲騎手が跨ってもブルボンは落ち着かず、馬場入り後も首を上げ下げ。なんとか落ち着かせてくれと祈るだけであった。人気はJRA4頭、バンチャンプに続いて、6番人気。みんなから指示されているんだよ、ミヤシロブルボン、頑張れ!
盛岡1600mは2コーナーの遥か奥からスタートする。スタート後は直線が長いので外枠もそんなに不利ではない。 如何に、キョウエーマーチのスピードについて行けるかがカギであろうか。前々の競馬を期待したい。

返し馬
返し馬、かっこいい〜

レーススタート。キョウエイマーチが飛び出して先行。これをサクラスピードオーが懸命に追走。サカモトデュラブ、フジノカズサオー、バンチャンプが続く。さら にニホンピロジュピタ、ウイングアロー、ナリタホマレ、ダイアモンドコア、ミヤシ ロブルボンと続く。3コーナー手前でサクラスピードオーとサカモ トデュラブが沈没。フジノカズサオーが2番手に上がり、バンチャンプ がこれを追う。

4コーナーを回ってバンチャンプが2番手に。しかし、直線に入るとバンチャンプの脚が止まってしまう。キョウエイマーチが単騎先頭だが、直線半ばでニホンピロジュピタが力強く抜け出し、あっと言う間に2馬身半の差を付けてゴール。キョウエイマーチが2着に粘った。ウイングアローは差して、内のダイアモンドコアを際どく制し3着。ミヤシロブルボンは、スタートの順位のまま9着。

向こう正面7番手 ゴール前の攻防
向こう正面7番手

直線の攻防(from DirecTV)

本日の結果

馬 名 タイム/差 人気 体重 増減
1 3 ニホンピロジュピタ 1:38.4 1 485 +5
2 8 キョウエイマーチ 2・1/2 2 499 +5
3 1 ウイングアロー 1 3 458 0
4 7 ダイアモンドコア ハナ 7 467 +3
5 6 バンチャンプ 2・1/2 4 492 +2
6 4 ユーコーマイケル 1・1/2 9 448 -3
7 10 ナリタホマレ ハナ 5 421 -7
8 2 フジノカズサオー 2 11 530 +10
9 12 ミヤシロブルボン 3/4 6 473 -1
10 11 サカモトデュラブ 6 8 452 +5
11 5 スピアーヘッド 1 12 480 +4
12 9 サクラスピードオー 大差 10 516 -13

(ダート1600m、曇り、良)

ミヤシロブルボン、結果は9着だったが、あの入れ込みで大きく崩れなかったのがせめてもの救いであった。レース後も元気いっぱい、無事完走おめでとう!次は頑張ろう!ミヤシロブルボンにレース後、会う時間が無かったのが唯一心残りであった。

レース後、小西おお先生につれられて、小西重征厩舎を訪問。小西厩舎は言わずと知れたトウケイニセイがいた厩舎。厩舎入り口にある、優勝レイのコレクションと、優勝写真額の数は膨大なもので壮観であった。トウケイニセイはこの春、門別種馬場で頭をなでさせてもらっていただけに、貴重な品々に接して暫し呆然としたのであった。

ここには、新井昭二牧場の生産馬、グッドソング(4歳C1)、イシゼンアンジュ(3歳新馬)、キングオブニセイ(3歳新馬)が在厩している。あいにく、キングオブニセイは放牧中でいなかったが、グッドソング、イシゼンアンジュが入厩中であった。今後のレースでの活躍を祈り、活を入れさせてもらった。何をしたかはナイショ。しかし、もう馬着(馬の服)を着せているのには驚いた。盛岡はそんなに寒いのか...

新井さん、小西さんはこの後、北海道で開催中のセリを見に行くそうだ。今夜、八戸からフェリーで行く。「いっしょに行こうよ」というお誘い(?)に後ろ髪を引かれながら、小西厩舎を辞して、バスで盛岡へ。しかし、大渋滞に巻き込まれ盛岡まで1時間20分 。わんこそばを食べて帰るという、当初の予定も時間と元気が共に失せて疲れ果て、早々に新幹線の車上の人となった。

ブルボン次は大きいところを勝とうね!

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