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出産、種付けの予備知識 その1
馬の妊娠期間は11ヶ月です、中には一年以上もお腹に入っていることもあります。ミヤシロゴジュウやイーアールウイナーが一年パターンです。馬にも個体差があるようです。
出産の兆候として乳の張り具合が一番の目安になります。これも個体差がありますが乳が張って乳首の先にヤニがつきポタポタ乳が漏れたりすると要注意。まもなく出産です。馬によって張っただけで産むのもいますが、その馬のパターンを覚えておけば大体同じパターンで産むので大丈夫。
逆に言えばよく観察してパターンを覚えていなければ、いつ産むか分からないので監視が大変なんです。初めて産む馬とかよそから来た馬とか.....幸いサテライトの馬達については資料があるので少し楽です。出産時の事故と言うのはけっこう多いです。だから人が手助けしてあげなければならないのです。
出産、種付けの予備知識 その2
今回は出産直前の馬の様子です。
これも馬によって様々なんですが、まずエサ食いが極端におちます。イライラしだしていつもとは明らかにちがってきます。ゆすり(首を左右に振り、それにあわせて前肢も左右交互に足踏みする。)をしたり、壁をかじったりします。その後はくるくる馬房をまわり、首のあたりから汗をかき出し寝たり起きたりを繰り返し破水がはじまります。
そのころ私たちは携帯用酸素,消毒液,タオル、寝ワラなどを用意しておきます。破水が始まると白い袋がでてきます。これは胎児が入っている袋の一部なんです。このあたりはかなり緊張します。袋が見えて足が出てくればいいんですけど、足が出て来なかったり、真っ赤な胎盤が先に出て来たり......一分一秒を争う処置が必要なときもあります。
詳しい事は次の機会にします。さぁ〜いよいよ出産です。
出産、種付けの予備知識 その3
馬の生まれる時間ですが、満潮時に生む事が多いようです。数字的には分かりませんが、これは実感です。それも夜が圧倒的に多いです、いつも新聞の潮見表見てますよウチでは、、、
生まれた仔は正常であれば30分から1時間以内に立ち、すぐにオッパイをさがします。本能ってすごいですね。オッパイ見つけるの下手な奴もいるけど大体は見つけて飲みます。ウチはせっかちで、早く飲んでもらいたいから必ず手助けしますけど、、、、
乳の出が悪い馬とか、産後の肥立ちが悪いとか,なんらかの理由で授乳できない、させない母馬の場合、人が飲ませてあげます。人から乳をもらって飲んでいる仔馬は、人を見ると乳をねだります。そしたら人に良くなつきますね。ただこれは子馬にとっては良い事ではないので出来るだけ親に付ける様にしています。仔馬はものすごく飲むので、24時間体制で管理しなければならないので人間の方がまいってしまいます、、、、
時には乳母をつけることもあります、親が病気だったり、死んだりしたときなど、、、
出産、種付けの予備知識 その4
豊郷には巡回当て馬ってのがいて3日に一度づつ各牧場に回ってきます。当て馬専用の道産子を持っているおじさんがいて(昔から)、4月から6月一杯、雨の日も風の日もその道産子に乗って回ってきます。繁殖一頭につき値段は幾らと決まっています。(1回でも10回でも)繁殖の頭数が少ないと巡回当て馬の方が得だけど、多いと自分の家に置いた方が得です。
出産後8日目位から一回目の発情が始まり、卵ができ始めます。その卵が排卵直前に種付けする訳です。それで受胎しなかったら20日前後の周期で排卵があるので、それに合わせて種付けして行きます。上がり馬は当て馬 した方が判り易いんですが、日にちをおいて直検すると状態がつかめるので、それで周期をつかむこともできます。直検は獣医さんが馬の肛門から手を入れて直腸の腸壁越しに 卵巣の卵の状態を調べる事です。 これで種付け時期を決めるんです。そのためにはとっても大事な事なんですね。獣医さんが当て馬の代りをして いる訳ですね。
馬の黄疸について。黄疸になるのは仔馬の方です。母子間でのみ起こります。だから他の馬の初乳を飲ませます。こんなこともあるので、他の馬の初乳を予め取っておいて保存しておきます。
詳しくはわかりませんが、例えば母乳を24時間以上飲ませられないなどと決まりがあります。この時間は前もって血液検査をして、割り出されています。母親と産まれてくる仔の種馬の血液を掛け合わせて検査しているようです。この場合、24時間後からは、母親のオッパイを飲んでも子供の肝機能で分解できるようになるので黄疸にはなりません。
毎年、黄疸が出る繁殖馬もいるそうです。そういう場合、繁殖の方にかなりきつい要素があるのでしょう。人間も同じだと思うんですが、産まれてすぐに黄疸になると危険な状態になると思います。血液の血漿がどうとかこうとか?...素人にはよくわからんのですが(^^;
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